大黒摩季 LIVE NATURE #1“POWER OF DREAMS”

  夢が現実となった日々。LIVE NATURE #1 “POWER OF DREAMS”

ここ横浜アリーナで行なわれるライブは、全国5カ所9公演のツアー3days。そして、今日11月2日は、その最終日。ツア−の最終日というのは、どんなライブにしろいつもより期待感が高くなってしまうもの。加えてプロデビュ−5年目にして初ライブ・ツア−を行った大黒摩季だけに、この日のオ−ディエンスの期待感は、相当膨れ上がっていたに違いない。今年8月、お台場で行われた初ライブには、約4万7000人というオ−ディエンスが彼女のステ−ジを見守っていた。それだけではない。あの日、テレビ中継もされていたことを考え併せれば、何十万人という人間が彼女のステ−ジを目にしたことになる。だが、どうだろうか、この会場に漂う緊張感は。“大黒摩季は、どこまで素晴らしい歌声を披露してくれるのだろうか?”そういった大多数のオ−ディエンスの想いが、開演前の会場を一種特別な喧騒の場へと変化させていた。一体どれだけ多くの人間が、彼女がステ−ジに立つ日を待ち望んでいたことだろう……。
もちろん今日は、大黒摩季にとっても特別な日になるであろう。初めてのツア−最終日、彼女自身の次なるステップへつなげるためにも、この日のステ−ジは完璧にやり遂げておかなければならない。それに、ステ−ジに立つことを夢見ていたのは、彼女自身ほかならないのだ。それだけに、今日のステージは大黒摩季にとって、大一番とも言っていい。
会場の客電が落とされ、さっそうとステ−ジに登場した大黒。その途端、開演前の緊張感が解き放たれ、大歓声が沸き起こる。オ−プニング・ナンバ−は「永遠の夢に向かって」。8月のライブではステージ後半に披露され、オ−ディエンスを歓喜させた楽曲である。オープニングからこの曲がプレイされれば、彼女もオーディエンスも初っぱなからアクセル全開だ。“最後までこのテンションでいったら、倒れるんじゃないのか?!”などといった余計な心配をよそに、彼女は「チョット」、「あなただけ見つめてる」といった代表曲を次々と披露する。それにしてもパワフルな歌声だ。8月に初ライブを行ったばかりのア−ティストだとは、とても思えない。まさに圧巻の一言に尽きる。
“今日で最終日です。今までの日々が全て今日のためにあったと思えるように、ガンガン飛ばしていきますので、宜しくお願いします !! ”
力強い言葉がこだまする。オ−ディエンスをただ煽あおるだけの言葉ではない。それは、心の叫びに近かった。彼女の言葉どおり、その後も「DA・KA・RA」、「別れましょう私から 消えましょうあなたから」、「Harlem Night」を間髪入れずに大ヒット・ナンバ−を立て続けに連発。激しいステ−ジ・アクションを伴った彼女の歌声には、どこか闘争心にも似た感情に満ちている。実に、スピ−ディ−な展開。だが、オ−ディエンスの表情に疲労感などはない。むしろ、爽快感に満ちた笑顔が、この日のライブを物語っている。拳を天にかざしながら歌う彼女の姿には、緊張もプレッシャ−もない。その熱唱に応えるべく、オーディエンスも何万という拳を一斉にかざし、大コーラスを轟とどろかせている。力と力がぶつかり合う瞬間。大黒摩季とオ−ディエンスの作りだした巨大なエネルギ−が、この会場に炸裂する。ステ−ジ前半にて、早くも、彼女の真骨頂を見せ付けられてしまった…。
高いテンションのステ−ジ展開の後は、「愛してたんだ」「いじわる」の2曲で、幻想的な空間を作り出し、彼女は繊細な歌声で魅了してくれる。青白い光に包まれ、息を飲むような静けさに包まれた会場。フェンダ−・ロ−ズの柔らかなサウンドに導かれるように、しっとりと歌い上げる。大黒摩季というシンガ−は、歌において、非常に多彩な表情を見せる。ハ−ド・チュ−ンであろうと、バラ−ド・チュ−ンであろうと、それぞれの曲の中で表情(歌声)を変え、起伏に富んだヴォ−カルを披露してくれる。しかも、その楽曲に対する彼女自身の想いが、ストレ−トに伝わってくることがある。その後に披露された「STOP MOTION」がいい例だった。イントロが流れ、ブルーの幻想的な光が、ステージをゆっくりと包み込む。優しい歌声で魅了してくれたか思うと、サビではエネルギッシュな歌を披露する。そして、自身の原点をもう一度思い返すように、詞一つ一つを噛み締めるように歌い上げる。“夢を持ったら、想い続けることが大事……”そうMCで語ってくれた彼女の想いが、歌っているときにもヒシヒシと感じてしまう。改めて彼女の表現力に圧倒されてしまった。
その後は、再び、白熱したステ−ジを展開。広いステ−ジを有効に使いながらアグレッシブなパフォ−マンスを繰り広げた「熱くなれ」、サポ−ト・メンバ−をフィ−チュアさせたコ−ナ−の後、絶妙のタイミングでスタ−トさせた「ゲンキダシテ」、彼女がキ−ボ−ド・ソロを担当した「夏が来る」など、王道ロック・チュ−ンを連発。そして、アンコールでは「風になれ」、「ROCKs」、「ら・ら・ら」の3曲により、感動的な大合唱で締めくくる。
彼女のステ−ジは、まるでジェット・コ−スタ−のようだ。ロック、バラ−ド、ポップス……。静と動のダイナミズム、いや、それだけでは語り尽くせぬ多彩さがある。それは、彼女の幅広い音楽性によって成し得るのかもしれない。だが、それだけではない。自由自在なステージ展開とオーディエンスの一体化があるからこそ、こうした素晴らしいステ−ジが実現するのだ。 大黒摩季の魅力 。それは、歌にかける情熱なのかもしれない。
そして、そこには必ず彼女の“POWER OF DREAMS”が存在している。

SET LIST
1.永遠の夢に向かって 2.チョット 3.あなただけ見つめてる 4.DA・KA・RA 5.別れましょう私から 消えましょうあなたから 6.Harlem Night 7.空 8.DA・DA・DA〜恋はメリーゴーランド〜恋のTIME MACHINE 9.OH-MENI-MITE-YO!! 10.愛してたんだ 11.いじわる 12.STOP EMOTION 13.mistral〜アンバランス 14.FIRE 15.熱くなれ 16.ゲンキダシテ 17.夏が来る 18.Power of Dream 〈ENCORE〉1.風になれ 2.ROCKs 3.ら・ら・ら

Copyright(c)1997 Being,Inc.
All Right Reserved